筋肉を「熱を生み出す臓器」として捉えたことはありますか?
体重の約40%(女性は約35%)を占める人体最大の組織である筋肉は、「運動器」としての機能だけでなく、「熱源」としての働きも持ちます。
本記事では、筋肉が体温調節に果たす重要な役割を軸に、「冷やす vs 温める」が
筋トレ効果・ダイエット・ケガの回復にどう影響するのかを解説します。
・トレーニング効果を高めたい方
・サウナやアイシングの使い方に悩んでいる方
・筋肉の役割を深く理解したい方
筋肉と熱の関係を知れば、日々の運動とリカバリーが一段と効率よくなります。
筋肉を温める or 冷やす?それぞれの効果とは!?
ヒトは恒温動物であり、36〜37℃前後の体温を維持しなければ生きられません。しかし外気温は常に変化するため、自ら熱を作り出す仕組みが必要です。筋肉はその熱産生の約6割を担っているとされており、体温維持における重要な臓器といえます。
サウナや冷水浴が筋肉に影響を与える?
サウナや水風呂を繰り返した際に、運動後のような疲労感を感じた経験がある方も多いでしょう。この感覚には「筋温(筋肉の温度)」が関与していると考えられています。
実際、筋温を41℃程度まで上昇させると、「HSP(ヒートショックプロテイン)」が生成され、筋肉の分解抑制や修復が促進されることが分かっています。
炎症が起きているときにはお勧めできませんが、基本的にサウナなどを通して筋温を上げることは、筋肥大にとってプラスであると捉えていいでしょう。
反対に、筋肉を冷やす場合には炎症や腫れの抑制が期待できます。
さらに、冷やすことが筋持久力の向上にも寄与すると言われており、温めること同様にメリットがあると考えられます。
ただ、筋肥大に関しては冷やすことで抑制される可能性があるため、注意が必要です。
筋肉を温めることで得られる効果
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- 筋肥大の増強効果(筋トレ後に温熱刺激を加えると効果アップ)
- ミトコンドリアの増加(持久力、免疫力の向上。疲労軽減)
筋肉を冷やすことで得られる効果
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- 炎症、腫れの抑制
- 筋持久力の向上
- ミトコンドリア増加(持久力、免疫力の向上。疲労軽減)
つまり「温める or 冷やす」どちらが正解かは現段階では明確ではなく、目的に応じて使い分ける必要があるというのが現状です。
熱効率における”速筋”と”遅筋”の違い
運動中に体温が上がるのは、筋肉によるエネルギー消費と熱発生のためです。
ここからは「速筋」と「遅筋」による熱効率の違いに触れていきます。
まずはそれぞれの定義について確認しましょう。
速筋=収縮が速く、瞬発的に大きな力を発揮する筋肉。
遅筋=収縮が遅く、持久力に優れている。
特徴 | 速筋(白筋) | 遅筋(赤筋) |
---|---|---|
見た目 | 白っぽい | 赤っぽい |
主な機能 | 高出力・瞬発力 | 省エネ・持久力 |
動員される運動 | 短距離走、筋トレ、ジャンプなど | ウォーキング、マラソン、姿勢維持など |
疲労しやすさ | 疲れやすい | 疲れにくい |
エネルギー供給 | 無酸素(糖の分解) | 有酸素(脂肪も使う) |
熱産生量 | 多い(熱効率は低い) | 少なめ(熱効率が高い) |
速筋は爆発的なパワーを発揮する一方、燃費が悪くてすぐ疲れるスポーツカーのようなものですね。
片や遅筋は、パワーはないけど燃費がいいハイブリットカーといえます。
有酸素運動 vs 筋トレ
「筋トレで汗をかく=熱をたくさん出している」と思われがちですが、 実際はエアロビクスやダンスのような軽い運動の方が時間あたりの熱産生は大きいといわれています。
これは、速筋が1回の収縮で多くの熱を出すものの、長く運動を続けられないのに対し、 遅筋が中心となる有酸素運動では、低〜中強度の運動を長時間継続できるため、結果的に「時間単位」で見た総熱量が大きくなるためです。
「筋トレで汗をかく=熱をたくさん出している」と思われがちですが、 実際はエアロビクスやダンスのような軽い運動の方が時間あたりの熱産生は大きいといわれています。
ダイエットに活かすなら?
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- 短期で体脂肪を落とすには有酸素運動が効果的(熱効率が高い)
→ただしリバウンドリスクが高い(筋肉量が増えないため、基礎代謝が低いままで元の生活習慣に戻ると、消費エネルギーが減って体脂肪が再び増えやすくなる)
- 短期で体脂肪を落とすには有酸素運動が効果的(熱効率が高い)
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- 長期的な観点から見ると、筋肉を増やし基礎代謝を上げる”筋トレ”が効果的
諸説ありますが、筋肉の「熱源としての役割」も意識したトレーニングが、持続可能なダイエットには最適だと考えられます(食生活ももちろん大切)。
アイシングの是非と科学的見解
アイシングの基本
アイシングは「RICE処置(Rest、Ice、Compression、Elevation)」の一部として、ケガ直後の初期対応に長年使用されてきました。目的は:
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- 血管収縮による出血抑制
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- 過度な炎症の防止
しかし、近年の研究では、過剰な冷却により、筋肉の治癒・再生が遅れる可能性があるとも言われています。炎症は本来、身体が損傷を修復する自然な反応でるため、それを抑えすぎると、かえって回復を妨げるリスクがあるのです。
冷やすタイミングと長さに注意
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- 怪我の初期に限定して冷却を行い、腫れや出血が収まったら中止
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- 冷却後に温めることで回復を促進する可能性もある
まとめ
筋肉は単なる「力を出す装置」ではなく、「熱を生み出す発熱器官」でもあります。
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- 筋肉を温めるか冷やすかは、目的に応じて選ぶのがベスト
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- ダイエットには「有酸素×筋トレ」のハイブリッドがおすすめ
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- アイシングも万能ではない。必要なタイミングと量で使い分けることが重要
筋肉と熱の関係を理解することで、日々のトレーニングやリカバリー、ダイエット方法に科学的な裏付けが持てるようになります。 「冷やす or 温めるかは目的次第」――この原則を胸に、あなたのトレーニングがより効果的になることを願っています。
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